空師、千年杉を伐る
昨年11月初旬のある日、空師の熊さんこと熊倉さんからひさびさに電話があった。「今度、岩手ですっごい木を伐るんですよ。写真撮っておきますから後で見てくださいよ」大仕事の前の期待と不安が入り混じった、いつになく興奮ぎみの熊さんであった。山寺にある大きな杉の木を伐採するのだという。空師は高木にチェーンソーを持って登り、空に近い上部から木を伐っていく。木を横倒しにすることなくクレーンで吊り出すので、宅地や寺社仏閣の狭い土地にある巨木の伐採を得意とする。墓地の真ん中にあるという巨木の伐採は、まさに熊さんの本領発揮といったところだろうと思った。しかし、私が「すっごい木」のすごさの本当の意味を理解したのは、それから1ヵ月後、帰ってきた熊さんから話を聞いたときだった。想像以上にたいへんな難事業だったのである...[続きを読む]